検索 OPEN/CLOSE

校長・教員ブログ

校長・教員ブログ

私は国語科の教員です。この仕事を始めて数十年になりますが、授業で文字を書く時はほぼたて書きです。他の教科の先生は黒板を左から使うのに対し、国語科の教員だけは右から黒板を使い始めます。私はたくさん文字を書いてしまうので、できるだけ右端から書きたいのですが、クラスへ大事なお知らせがある時の黒板は右側からプリントを掲示したりしています。なるほど、黒板の右側ユーザーである私たちは少数派なのね…とちょっぴり悲しくなります。入試で扱われる本文はさすがにたて書きですが、小論文はほとんどがよこ書きのスタイルに移行しました。私たちが板書する形態もいずれ変わっていくのでしょうか。そもそも、「黒板」というツールはもはや古いのかもしれませんが。

―情緒的な文章はたて書きの方が伝わりやすい、物事の説明や論理性が必要な文章はよこ書きの方が伝わりやすいー。こんな一文をどこかで見受けましたが、たしかにファッション雑誌の巻頭を飾る芸能人のエッセイはたて書きが多いですよね。でも、新聞の書き方はたて書きですが、すべてが情緒的な内容だったら日々のニュースも空想の世界が入って何が真実かわからなくなってしまいそう。ケータイの画面がたて書きだったら見づらいですが、コミックのセリフはそのほとんどがたて書き。私たちは無意識のうちに、たて書きとよこ書きの文章を使い分けているのかもしれません。

文章のことを「テキスト」と言いますが、語源は「テキスタイル」=「織物」です。織物はたての糸とよこの糸を紡ぎ合わせて一つの生地ができますね。それと同じように、日本語もたての糸を主軸とした「たて書きの風景」が、よこの糸を主軸とした「よこ書きの風景」が紡ぎ出されます。私は、たて書きで書く漢字やカタカナやひらがなの文字列がとても大好きです。それは、それぞれの文字が連なって一つのアートを創り出しているように思えるからです。また、上から下へ目を通すことで、言葉が一つひとつ、自分の体に落ちてゆく感じがおもしろい。世界の中でたて書きの言語は少数ですが、これからもそのたて書きの風景を楽しみながら、さらなる魅力を感じ取りたいです。

Picture2 Picture1

 

 

 

 

 

 

 

私の趣味の編み物もテキスタイル=テキストです!

 

 

           私の趣味の編み物もテキスタイル=テキストです!

PAGE TOP