「
Shine like stars in a dark world」
今年度の卒業礼拝は新型コロナウイルス感染症の影響のため、
昨年同様これまでの卒業礼拝とは違う形で行わなければなりません。
しかし、私はそのことを残念だという思いだけで今いるわけではありません。
コロナ禍の中で困難な時間を卒業生の皆さんが経験して今ここにいることを、
私たちは学校の誇りとさえ感じています。
北星での最後の一年間は殆ど全ての学校生活が、変更・延期・中止そして
学校閉鎖さえ伝えなければならない状況になりました。
先生たちにとっても、本当に苦しい期間でした。
今後も困難な状況は続いていくでしょう。
しかし、皆さんが歩み経験したことは、
これから確かな自信につながっていくと私は確信します。
最後の礼拝で生徒の皆さんに伝えたい聖書のことばが三つあります。
一つ目が、今みなさんが語った暗唱聖句です。
「わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。人がわたしにつながっており、
わたしもその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ。わたしをはなれては、
あなたがたは何もできないからである。」~ヨハネ15 :5~
この言葉は、イエス様が十字架にかかる直前に弟子たちに語った言葉です。
弟子たちに是非この言葉を伝えたかったのです。また、この言葉は、
私たちの学校の創立者スミス先生を生涯にわたって励まし続けました。
卒業後どのようなことがあっても神様に繋がって生きてください。
二つ目は、私が入学礼拝でみなさんに語った聖書のことばです。
ヨハネによる福音書15章にある言葉です。
『…あなたがたが出かけて行って実を結び、その実が残るようにと…
わたしがあなたがたを任命したのである。』
卒業を控えたコロナ禍の真っただ中、校長室に来て話をしてくれた生徒がいました。
社会の動きを知り、繋がりを持ち、今の自分に何ができるのか、
何を考えなければならないのかを真剣に自分自身のこと、
家族・友人・生きることを私に語ってくれました。
自分の考えを話してくれた生徒の表情は、教室や廊下で友達と楽しそうに
話をしている顔とは違う大人の入り口にしっかり立っている姿でした。
北星での「生活」「経験」「学び考えたこと」が生徒の内に、
実として結ばれ始めたことを見る思いでした。
そして三つめは、創立者スミス先生が日本を離れる時に語った聖書の言葉です。
『わたしたち強い者は、強くない者の弱さをになうべきであり、
自分の満足を求めるべきではありません。おのおの善を行なって隣人を喜ばせ、
互いの向上に努めるべきです。キリストもご自分の満足をお求めになりませんでした。』
~ローマ書15章1~3節~
創立者が願ったように、本校での「学び」「経験」「知識」を活かし、
皆さんを必要としている人の、傍らに立つ生き方を選んでください。
皆さんたちの働きを待っている場所や人が、世界の中に必ずあるのです。
私たちの学校の校訓に「Shine like stars in a dark world」という言葉があります。
私は今年度ほど、この言葉を心に深く受け取った年はありませんでした。
「暗い世にあって星のように輝く」これは創立者の願いです。
今、皆さんはどのような思いでこの言葉を受け取るのでしょう。
計画したこと、楽しみに予定していたことができなくなることがあるでしょう。
まさに北星での最後の一年間がそうでした。
誰も喜んで困難を迎入れる人はいいません。しかし、そのような困難な状況の中で、
何を成していくかを皆さんは経験しました。辛い中に新しい発見もありました。
唯々楽しい毎日を送る生き方でなく、価値ある生きかたを大切に歩んでください。
18世紀に生きたドイツの賢人ゲーテが残した言葉
「涙とともにパンを食べたことのある者でなければ、人生の本当の味はわからない」
は真実です。
保護者のみなさま、これまでに経験したことのない状況の中、
お嬢様を支え続けてくださり、また本校の教育にご理解・ご協力を頂きありがとうございました。
また、式出席に制限を設けなければなりませんでしたことをお詫びすると同時に、
卒業礼拝にお越しくださいました保護者・ご家族の皆さまに、心からのお祝いと感謝を
申しあげます。
只今卒業証書を渡した、177名の6年生の皆さん、卒業おめでとう!
これを持ち、祝辞とさせて頂きます。
2021年3月2日
北星学園女子高等学校校長
浅里愼也