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校長・教員ブログ

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 12月16日土曜日、所属する NPO“ことばのひろば五億の鈴の音の「大人もこどもも朗読会~星をめぐる物語~」が大通り西13丁目「札幌市資料館」で行われた。今年は、宮沢賢治の「よだかの星」、サン=テグジュペリの「星の王子さま(を、著作権処理の関係から青空文庫、大久保ゆうさん訳「あの時の王子くん」で)」、そして一年を締めくくる「ぐりとぐらの1ねんかん」の三作品を、小学校3年生から70代の大人までで読み継ぐ。そしてフィナーレは、宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりのうた」を出演者、観客、スタッフ全員で大合唱。

 

  NHK HTB のアナウンサーというプロの講師陣に指導を受け、発音やイントネーションを指摘してもらいながら日本語の文章を声に出して朗読していく志願者たち、5回の練習会を経ての発表会での驚くべき上達ぶりにいつも驚かされる。特に小学生、中学生の伸びしろの大きさ、子どもの限りない可能性に毎回感動する。

 

 今回私が担当たのは「星の王子さま」、その読む年齢で内容の解釈が変化し、大人になって読んでこそ本当の意味が迫りくる物語。世界に分断が広がり、最悪の事態を招き、そこここにきな臭さが漂う今だから「星の王子さま」を読んでいただきたかった。

 本の題名がいかにも読者を惹きつけてくるが、手に取って最初読んでみると、「?ん?

何これ?」で止めてしまった子どもも大人もたくさんいるはず、私もその一人だった。      

そこで考えることに意味があるのだ。何を伝えたかったんだろう。何を残したんだろう。

 

 1943 年、フランス人飛行家で著作家のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ作“Le Petit Prince”は米国、ニューヨークで初版本が出版され(ん?なんでニューヨーク?サン=テグジュペリってフランスの作家だよねと思ったでしょう?)、10 年後の 1953 年に日本で翻訳本が出版された。初めて日本語に訳したのが内藤濯(ないとうあろう)氏、「星の王子さま」の邦題も彼がつけた。70歳代でこの本の翻訳本を手掛けた内藤氏は、酒もたばこもやらない永遠の少年のような男性だったという。そして、著作者サン=テグジュペリも・・・無垢な、子どもの心に大人の皮をかぶった人物だったようだ。ボアの絵を描いて大人に認めてもらえないエピソードのまま彼は大人になり、あの戦争の時代を生きていた。フランス陸軍飛行隊の飛行教官だった彼は、ドイツ寄りのフランス政権に異を唱えアメリカに亡命しこの物語を書いた(だからニューヨークで出版だった!)しかし、戦争終結を願い再び自由フランス空軍に入隊、そして本が出版された 1 年後、1944 5 月に空軍基地を飛び立ち、二度と帰還することはなかった。44歳、生きていればもっと素敵な物語を残しただろうに。  本の最初に、「まだ小さかった頃のレオン・ヴェルトへ」とある。彼はサン=テグジュペリの親友、ユダヤ人だった。レオン・ヴェルトが第二次世界大戦当時ヨーロッパでどのように暮らしていたかは想像に難くない。実際、フランスの片田舎で息をひそめ、飢えと寒さに苦しみながら生きていたそうだ。彼に届けたかった物語、「本当に大切なものは目に見えないんだよ。」王子さまはこう繰り返す。戦争が終わり、レオン・ヴェルトがこの本に自分の名前が記されていることを知った時、サン=テグジュペリはすでにこの世に亡く、インタビューを受けた彼は「トニオ(サン=テグジュペリ)無きこの平和は完全な平和とは言えない。」

と述べたという。子どもに向けた易しい英語なので、”Le Petit Prince” Dedication(献辞) を読んでみてほしい。そして、またぜひ「星の王子さま」を手に取ってみてほしい、いつもそばにあって目に見えない本当に大切なものに気づけるように。

 

To Leon Werth

I ask children to forgive me for dedicating this book to a grown-up. I have a serious excuse: this grown-up is the best friend I have in the world. I have another excuse: this grown-up can understand everything, even books for children. I have a third excuse: he lives in France where he is hungry and cold. He needs to be comforted. If all these excuses are not enough then I want to dedicate this book to the child whom this grown-up once was. All grown-ups were children first. (But few of them remember it.)  So I corrected my dedication: To Leon Werth, When he was a little boy 

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