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    HOME学校について教員ブログ「アルバイトの思い出」 音楽科教諭  髙野珠子

学生時代歯科医院でアルバイトをしていた。音大生と歯科医院は口腔内に問題の無い限り縁遠い存在であるが私が生活していた学生寮で代々引き継がれてきたアルバイトということから、友人の紹介で始めることになった 

 そこは“下町の歯医者さん”と呼ぶに相応しい診療所で、生涯現役を貫く大先生(“おおせんせい”と呼ばれていた)と、人情味溢れる笑いを交えたトークでいつの間にか治療も終わらせてしまう2代目院長のもとに老若男女問わず様々な人が治療に訪れていたベテランの歯科衛生士さんは明るい性格で、手際よく仕事こなしながら丁寧に仕事を教えてくださった。 

アルバイトの仕事は掃除、会計、器具の消毒など細かな仕事が多かったものの、他のアルバイト経験から接客業が苦手と感じていた私にとっては、居心地のよい働き場所であった。  

会計作業で冷や汗をかいたり、おやつに頂いた大福の粉を口に付けたまま受付に出たり、レントゲンの現像液の順番を間違えてしまったり…と大小様々な失敗も多くあったが、その都度優しくフォローしていただいた記憶が蘇る。 

おおらかで温かな雰囲気の中、他者に寄り添って接することの意味や、人と人とが繋がることの有難みを実感する、そんな場所でもあった。自分のやりたいことに夢中になれるのが学生時代というものであるが、違う世界を垣間見ることで、自分の進むべき道を見出すことができたのかもしれないと、その時代を懐かしく思い出す。 

 このアルバイト先で身に付いたことと言えば、電卓を早く打てるようになったこと、洗濯後のタオルの収納方法、そして口腔内の衛生に対する意識の高まりだ。今は加齢と共に現れる歯と歯茎の問題に対処すべく歯科医院は私にとって大変縁のある場所になっている。 

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