「AIと英語学習の新しい可能性 」英語科教諭 田邊 元
近年、人工知能(AI)の進化が大きく取り上げられています。私たちの身近な生活にも少しずつ入り込んできましたが、教育、とりわけ英語学習にもAIは大きな可能性を秘めています。
たとえば、これまで分からない単語は辞書で調べることが基本でしたが、AIを使えば、文章の流れに合った自然な訳や言い換えを提示してくれます。また、自分の書いた英文を瞬時に添削し、より良い表現を教えてくれるため、学習の効率が大幅に上がります。
さらに、AIは個別最適化に強みがあり、生徒一人ひとりの弱点を把握し、必要な練習問題や学習のステップを提案してくれます。たとえば、リスニングが苦手な生徒には、スピードを調整した音声練習を、文法が苦手な生徒には基礎問題の反復を、といった形で柔軟に対応してくれます。
もちろん、AIは万能ではありません。自動翻訳や添削は便利ですが、そこに完全に頼ってしまうと、自分で考える力や、言いたいことを相手に伝える力が育ちにくくなります。英語を学ぶ本当の目的は、テストで高得点を取ることではなく、相手と気持ちを通わせるコミュニケーション力を身につけることにあります。その能力は、仲間との対話や授業でのやり取りを通じてこそ培われるものです。
AIはあくまで、学びを助ける道具にすぎません。正しく使えば、生徒の主体的な学習を促し、保護者の皆さまにとっても家庭での学習サポートに役立ちます。そして私たち教員にとっても、生徒一人ひとりに向き合う時間を増やすために大きな助けとなります。
これからの英語教育は、「人」と「AI」が協力して進める時代になります。私たちも積極的に新しいツールを学びながら、生徒たちがより自信をもって英語を使えるよう、一緒に取り組んでいきたいと思います。