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校長・教員ブログ

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俳句と言えば、何となく古臭いイメージがあるかもしれませんが、最近は俳句が若い世代にもブームになっているのでしょうか?芸能人が俳句を作り、自分の作品が査定され、ランキングが発表される番組も人気のようです。私も学生時代は想像力を膨らませて小説やポエムの創作活動をしていた時がありましたが(昔の作品をふと発見してしまったときは本当に恥ずかしいのですが……)短歌や俳句のようなものは苦手でした。特に俳句は、五・七・五の十七音という限られた音数の中で表現が制限されてしまう感じがしました。しかし、最近は私の中でも俳句のブームがやって来ています。

私は昨年度、中学3年生の授業を担当しており、冬休み明けに俳句の授業をしました。俳句の決まり事の一つに「季語を入れること」というのがあります。(句の中に季語が入っていない「無季俳句」というものもありますが)冬休みの課題として生徒たちには、「冬または新年の季語を使った俳句」を二句創作してもらいました。作品を並べてみると、冬の情景を詠んだもの、家族や友達と過ごすお正月の様子、コロナ禍の世相を反映したものなど様々です。思わず笑ってしまう一句やほっこりとする一句……どの俳句からも生徒たちのみずみずしい感性が伝わってきます。生徒たちの作品を見ても、俳句には限られた字数の中でこそ広がる表現の面白さや余韻を楽しむことができることがわかります。

俳句の中で大きな役割を果たす「季語」ですが、これは言うまでもなく季節を表す言葉です。春夏秋冬、季節を表す言葉は自分の頭の中でいくつも出てきそうですが、ここで登場させたいのが「歳時記」です。「歳時記」とは、「四季の事物や年中行事などをまとめた書物」のことですが、「俳句の季語を集めて分類し、季語ごとに解説や例句を加えた書物」のことでもあります。書店の俳句コーナーの本棚にはたくさんの「歳時記」が並んでいます。手に取り、ペラペラとめくってみると、まだ出会ったことのない言葉と出会うことができ、それはまるで言葉の宝箱を開けるような感じがします。4月に入り、北海道もだんだんと暖かくなり、ようやく春を感じるようになりました。さて「歳時記」には、どのような春の言葉が出てくるでしょうか。

私が先日手に取った「歳時記」の中から少しご紹介します。

 

*「雪間(ゆきま)」… 積もった雪が溶けはじめて、地面がまだらになっている状態のこと。

☆雪国に住む私たちには、この景色が簡単にイメージでき、春がきた!と感じる風景ですよね。

*「雛納め(ひなおさめ)」…雛祭が終わり、元の箱に雛人形をしまうこと。

  ☆幼いとき、この雛人形をしまう時間が寂しかったことを思い出します。

*「朝寝(あさね)」…朝遅くまで寝ていること。

  ☆春のポカポカ陽気は布団から出られなくなりますよね。隣で寝ている幼い娘も気持ちよさそう

に寝ているので、余計に布団が恋しくなります。

 

私の4歳になる娘は、日々新しい言葉を覚え、あっという間に見事に使いこなせるようになっていきます。娘を見ているといつも新しい言葉との出会いにワクワクしている感じがします。新しい言葉との出会いは、大人になってもワクワクするもので自分の想像力を膨らませ、世界を広げてくれます。俳句の題材は自分の身の回りにたくさんあり、紙とペンさえあればいつでも始められます。『夏井いつきの365日季語手帖』のおわりには

「毎週一句を一年続ければ、それは週間日記です。さらに五年、十年と続けていけば、それは自分

史となり、家族史となっていきます。自分の生の証、家族と過ごした記録として、俳句は生き続け

てくれます。」

とあります。「歳時記」の中から言葉との出会いや素敵な言葉の響きを楽しみ、一句詠んでみませんか?俳句を作ることが自分の日常にあると、今よりも季節の移り変わりを楽しむことができ、日々の生活も彩り豊かになるかもしれません。

 

 

〈参考文献〉

夏井いつき『夏井いつきの365日季語手帖』(2020年)レゾンクリエイト

川上弘美『わたしの好きな季語』(2020年)NHK出版

 

 

 

 

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