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校長・教員ブログ

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 今年度からHighコースの4年生で、学び方ワークショップを始めました。第1回は数学と英語の家庭学習をどのようにやるか、実践してみるという企画でした。数学は、その日の授業で学んだ内容を復習するための宿題が出ているそうですが、それを週末にやらず、なるべく学校で行うことを勧めていました。「土曜日に勉強しない。」という先生の言葉に生徒たちは驚いていました。すぐに解答を見ないで、教科書に戻る学習の仕方など、実践的な方法を学べました。英語は音声を聞きながら英文を読む学習方法を学びました。今はインターネットで音声を聞くことができるそうで、便利な時代になったと感心しました。

本校では中学1年生から高校3年生まで幅広く教える機会があるので、高校生になって必要となる力を中学1年生のころから段階的に見につけさせるようはたらきかけることができます。今年から始まった共通テストでは、覚えた知識を問われるのではなく、情報を読み取り、分析する力が求められました。また、分野ごとの出題にとどまらず、複数の分野を横断的に扱う問題も出題されていました。授業の目標やスタイルの変更が必要だと感じました。

私は生物が専門ですが、今年度は生物の他に、生物基礎と化学基礎を教えています。基本的に板書はしません。説明にどうしても必要なときは、黒板に図を描いたりはしますが、教科書に書かれたことを黒板に書いても意味がないと考えています。これまでは問いだけが書かれたノートプリントを配布し、教科書の読み取りを中心に授業を行ってきました。しかし、こちらで問い出しをすることで、生徒が自ら問いを発見する力を奪ってしまっているのではないかと考え、今年から基礎科目ではノートプリントもやめました。板書はしない、プリントもない、教材は教科書だけ・・・怠慢だと怒られそうです。それでも昨年度の共通テストの校内平均は80点以上(全国平均は約73点)、受験した生徒の8割が80点以上でした。なんとか新テストに対応できたかと少し安心しました。

私の授業は、教科書の作者の意図をどう読み取るかをひたすら練習しています。タイトルから扱いたいテーマを予測させ、図から何が読み取れるかを考えさせ、学んだ内容を図解させるというパターンが多いです。「この図の言いたいことは何ですか。」と質問していくばかりです。生徒が「わかりません。」というと、「教科書に書いてある。書いてあることしか聞いてない。」と答えます。予習していないと大変でしょうね。

『生物』を扱っているからといって、ありのままの生物について学んでいるわけではありません。人の目を通しています。だから、教科書を書いた人たちがどのような意図をもって書いたのかを読み取ることが必要だと考えます。しかし、それが必ずしも正解とは限りません。これを書いた人はそう考えた、その根拠はこういうことである、という話です。それが私自身の考えと違う時には、ここにこう書いてあるけど、私はこうだと思っている、その根拠はこういう実験結果や現象があるからだと付け加え、君たちはどう思うかと聞いたりもします。今の教科書が10年後も同じとは限りません。実際、私が就職してから良くも悪くもかなり教科書は変わりました。

 学び方ワークショップの話に戻りますが、第1回はいわゆる勉強の仕方を学びましたが、第2回は学びの視野をもう少し広げます。学びとは、自分の興味関心のあることや必要な知識を主体的に見につけていくことで、もっと自由度が大きく楽しいものであるはずです。そのような学びを経験した卒業生を招き、彼女たちの経験から学びとは何かをつかみ取ってほしいと考えています。広い目で見れば、生きて経験することすべては学びなのかもしれませんね。

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