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校長・教員ブログ

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 今年は雪が多い…札幌は8年ぶりの大雪だそうですね。我が家の前の道路は除雪が全く入らないので、大雪の次の日はあまり車を出さないようにしています(以前2度ほど家の前で埋まったことがあるので…)。町内では有名な「よく埋まる道」なので、冬の間近所の皆さんは必要最小限しか通りません。それを知らないで通った小さな車や宅配便のトラックが今日も埋まっている…。あ~あ、これで何台目だろう。

 こういうふうに家の前の道路で車が埋まっていたら、みなさんはどうしますか?…脱出できるかどうかしばらく温かい目で見守って、やっぱり無理だな、と思うと「しょうがないなあ」と手伝いに行きますよね。我が家も家族総出でコートをはおって軍手をはいて長靴はいて、「手伝いますよ」と声をかけに行きます。近所の人たちも何人も出てきて「そーれ!」と車を押します。やがて脱出できた車のドライバーさんは「ありがとうございます!ホントに助かりました…」と去っていきます。去って行った後には道路に大きな穴が残りますが、誰ともなく「また埋まったらかわいそうだからね」と近所のみなさんで穴を埋め、道路の雪かきをします。私も車が埋まったとき、こうやってみなさんに助けてもらいました。雪国に住む人には、手伝うことで損をしたとか得をしたというよりも「雪道で困ったときはお互いさまだべさ」というところがあって、とてもあたたかい気持ちになります。

 北海道には江戸しぐさならぬ「蝦夷(えぞ)しぐさ」があると言われます。江戸しぐさとは「雨の日にすれ違う時お互いに傘をかしげる」などで有名ですが、この「相手を思いやる」動作は、北海道の冬によく見られるものです。大雪が降った翌朝、歩道には細いけもの道。前に歩いて行った人の足跡をたどるように歩いていると前から人が来ます。そんな時はみんな自然に道を譲りあいます。お年寄りや小さな子供連れの人が来るとなおさらで、学生さんだと足が濡れるのもかまわず深雪のなかに足を突っ込んで待っていてくれたりします。「ありがとうございます」「いえいえ」という会話も生まれます。車に乗っていても細い道路では雪の壁にじゃまされてすれちがうことができませんので、やはりお互いに道を譲りあいます。雪かきのときにほんの少しお隣の家の前をやっておくとか、埋まった車を助けるとか、そういう助け合いを「蝦夷しぐさ」と言うようです。「そんなの意識しないで自然に昔からやってるもん」…そうなんです。自然にできている、というのがすごいところですよね。

 さて、今日も雪が降っています。仕事から帰って家の前の雪かきをしているとご近所の方が声をかけてくれます。「また降りましたね~」「いやあ、大変ですね~」…雪が降ると大変だけれども周りの人と会話が増えたりします。長い冬は雪国にとってやっかいなことも多いけれど、その冬の中で自然と出てくる「蝦夷しぐさ」があったり、自然と生まれる会話があったりします。「ああ、また雪かあ」と言いながらも、そんな人のあたたかさを再確認できる雪や冬は悪くないのかも、と思う今日このごろです。

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