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校長・教員ブログ

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第二言語を学ぶと、脳内では何が起こるのか?海馬と大脳皮質が大きくなる。脳の灰白質は密になり、白質は増えます。これらの変化は、幼少期から第二言語を学ぶ子どもに顕著に現れますが、大人になってから第二言語を学ぼうとする人にも見られます。

人類が言語を発達させたのは、約20万年前という説がある。その証拠に、言語を持っていなければできないような抽象的で象徴的な行動が描かれた洞窟画が存在する。また、顔の筋肉を動かして言葉を発するための遺伝子「FOXP2」が、ネアンデルタール人が持っている遺伝子と異なることも証明されています。つまり、私たちは共通の祖先から分かれた後、約20万年前に言語を発達させたはずなのです。というのも、人類が世界中に拡散し始めたのが7万年前ですから、すべての人類が同じ言語を持つには、すでに言語を持っていたはずだからです。

私たちは皆、まだ子宮の中にいるときに最初の言語を手に入れ始めます。生まれたばかりの赤ちゃんは、その言語特有のメロディーとイントネーションで泣きます。これは、子宮の中から聞いていなければできないことなのです。そして、赤ちゃんは真似をしたり、練習をしたり、試行錯誤しながら学んでいきます。言語を習得するにつれて、脳のさまざまな部分が成長し始めます。言語は、脳の3つの部分で処理されます。最初の部分は、左半球にあるブローカ野です。ブロカ野は、左半球にあり、音声を作り出し、考えを明確にするのが仕事です。話し始めると発火しますが、話し続けるうちに消えていきます。聞くときも同様ですが、聞き覚えのある単語であれば、すぐに消えてしまいます。しかし、私たちが知っている単語であれば、すぐに消えてしまい、知らない単語であれば、長く発火します。2つ目の領域は、ウェルニッケ領域で、上側頭愛部後方にあります。ブローカ野とつながっていて、理解力を司る。最後の領域は角回で、聴覚、視覚、感覚信号を処理する領域の近くにあります。その仕事は、言葉をイメージ、感覚、アイデアに結びつけることです。

新しい言語を学ぶと、脳のこれらの部位が変化しますが、言語を学ぶ時期によって変化の仕方が異なります。例えば、両親が異なる国籍の場合、子供の頃に第二言語を学ぶと、2つの言語があたかも1つの言語のように脳の中で発達します。ブロカ野が大きくなるだけで、1つの言語しか学ばなかった場合よりも大きくなります。しかし、彼らの脳は、1つの言語を話す人にはない変化を遂げます。脳はより多くのニューロンと樹状突起(ニューロン間の結合)を成長させ、脳の灰白質の部分をより密にします。また、脳の異なる葉をつなぐ白質にも影響があります。白質は強化され、脳はより効果的に葉の間を行き来するようになります。より多くの繊維が成長し、白質の体積が増加します。また、前帯状皮質にも変化が見られます。これは、注意の配分、意思決定、倫理、道徳を司る脳の部分です。バイリンガルの子どもでは、どの言語が話されているかを監視し、脳内で使用する言語を切り替えることに大きく関与するため、より密度が高くなります。

大人になってから第二言語を学ぶと、また違ったプロセスがあります。母国語を扱う脳の部分はすでに決まっていて、変更することはできません。バイリンガルの子どもたちのように、第二言語をそこに混ぜることはできません。大人が第二言語を学び始めると、その処理のほとんどは前頭葉で行われます。練習を重ね、第2言語をより流暢に話せるようになると、処理は第1言語の処理に使われる脳の部位に移ります。しかし、子供の場合は混ざり合うのとは異なり、大人の場合はまったく新しい領域が作られます。ブローカ野に、第二言語を扱う第二の領域ができるのです。しかし、灰白質はより濃く、白質はより多いという利点は変わりません。脳は処理能力に優れ、第二言語の学習は人生の他の部分にも影響を及ぼします。第二言語を話す人は集中力が増し、記憶力が向上し、認知症の発症を4年以上遅らせることができるのです。

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