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校長・教員ブログ

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自然農法に出会ったのは高校時代でした。『わら一本の革命』という本で、「余計なことをしない、ただわらを蒔けばいい」という稲作の農法を知り、衝撃を受けました。余計なことをしないというのは簡単ではなく、元研究者であった著者がその農法にたどり着くまでには膨大な試行錯誤があったのだと思います。耕さないことで土の中の微生物が守られ、わらを蒔くことで土が直射日光から守られると共に、微生物に栄養分を与えて土を豊かにしていく。自然の営みは人間の知恵よりはるかに優っているという信念が、この境地にたどり着かせたのだと思います。

ここには深い真理があると感じます。耕すから土が瘦せ、肥料が必要になる。土が弱るから作物が弱くなり、虫が発生して農薬が必要になる。余計なことを1つすることで、次々と連鎖的に問題が発生し、それに対策することで新たな問題が生じます。余計なこと、やらなくてよいことを見つけて取り除いていくことが、様々な問題の根本解決につながるのではないでしょうか。

教育の現場でも同じことが言えるのかもしれません。良かれと思って教師が手を出しすぎることで、生徒が自ら伸びる力を抑え込んでしまっているのではないかと自問自答します。ただし、自然は放任とは違います。放任していれば自然に生物は増えていきますが、こちらの望んだ形にはなりません。学校というすでに自然でない環境の中で放任しても、生徒が自然な形に成長するとは思えません。何が必要で、何が必要でないのか、それは生徒を観察することでしか見えてこないのではないかと思います。その前提として、自然、つまり生徒の成長する力は、人の知恵よりも優っているという前提にたつことが大切だと思います。

最近目指しているのは、種を蒔かない農法です。前の年に植えた作物の一部を残しておいて、花を咲かせ、種を落とします。翌年の芽が出る時期に草を刈ってあげると、昨年の種が芽を出し、あとは間引きながら収穫するという方法です。すでに菜っ葉類は数種類、うまくサイクルをつくれています。面白いのは、水も肥料もいらず、年々収穫がよくなっていくことです。自然の摂理に従った生き方をこれからも模索しつつ、生徒に伝えていきたいです。

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