「母の愛!?キャラ弁奮闘記」 国語科教員 手林紋子
突然ですが、皆さんは「キャラ弁」を作ったことがありますか? 我が家には小学4年生の娘がいます。保育園時代からこれまで給食にお世話になりっぱなしで、お弁当を作る機会といえば小学校に入ってからの遠足など年に数回。私が作る定番弁当は「茶色は正義!」と言わんばかりの渋い「のり弁」。親子揃って「お弁当はのり弁が一番美味しいよね」と疑わずに生きてきました。
そんな我が家に、今年の春、激震が走りました。 春の遠足のわずか2日前、娘が突然こう切り出したのです。
「お友達と見せ合いっこする約束しちゃった。……スンスンのキャラ弁作って!」
スンスン!?(最近人気のあのキャラクターです)。これまで海苔を切る作業といえば、のり弁の土台として大胆にちぎるくらいしか経験がありません。しかし、娘がお友達と約束してしまった以上、母のプライドにかけて引くわけにはいきません。すぐに100円ショップへ走り、ピンセットや型抜き、ご飯に色をつける専用ふりかけなどの「キャラ弁便利グッズ」を買い込み、YouTubeで「スンスン キャラ弁 作り方」を検索して研究しました。
「久しぶりのお弁当だから、全部手作りがいい!」という娘の強い思いに応えるため、母の起床はなんと午前3時。暗闇の中、せっせとおかずを仕上げ、いよいよ本番のキャラ弁作りに突入しました。
ピンセットを震わせながら海苔やチーズで作ったパーツを配置し、なんとか完成! ……うん、ちょっと動画でお手本として見たスンスンとは顔のパーツのバランスが違う気がしますが、そこは「母の愛」という名のご愛敬。娘は「すごーい!」と大喜びで学校へ向かいました。 帰宅後、「友達からも可愛いって褒められたよ!」と満面の笑みで報告してくれた時は、3時起きの睡魔も吹き飛ぶほどの達成感でした。
味を占めた娘と、謎の使命感に目覚めた母。 先日の社会見学当日には、早くも第2回キャラ弁大会が開催されました。今回のお題は「たまごっち」。青いスンスンの次は黄色いご飯に挑戦です。 まだたったの2回ですが、今回も早朝からピンセットを握り、気分はすっかりキャラ弁職人です。細かいパーツをピンセットでつまみながら、「すべては娘の笑顔のため……」と奮闘した結果、今回も大成功を収めました。
最近の私は、娘が夢中になっているキャラクターを「これ、海苔や食材の色で再現できるかな?」と、キャラ弁職人としての視点でチェックするようになってしまいました。そして、キャラ弁なんて無縁だと思っていましたが、大人になってからこうして未経験のことに頭を悩ませ、試行錯誤する「新たな挑戦」は、やってみると意外と楽しく、どこかワクワクしている自分に気づきました。
子どもが「キャラ弁作って!」なんて頼んでくれる時期は、きっとあっという間に過ぎ去ってしまいます。できることが増えて、どんどん親の手を離れていってしまう子ども。そう考えると、こうして新しい挑戦にワクワクさせてもらいながら、ピンセットと格闘させてもらえる今こそが、実は一番幸せで「いいとき」なのかもしれません。
……と言いつつ、次の遠足はもう少しパーツの少ない、簡単なキャラクターをお題にしてくれないかな、と密かに願う母でした。