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校長・教員ブログ

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冬休みが始まりました。長期休みは生徒にとって楽しみな時間であることは言うまでもないと思いますが、教員である私にとっても、ゆっくりと趣味に没頭できる時間をとることのできる貴重な期間です。ビーズアクセサリーづくり、けしごむはんこづくり、編み物、書道、漢字検定1級取得に向けた勉強、読書、カリグラフィー、硬筆ペン字……なんといっても、何かと時間のかかる趣味の多い人生です。一日が40時間くらいあれば……と何度思ったかわからない日々を過ごす私には、冬休みは最高の時間を過ごすことのできる機会です。

本当は全ての趣味において私を魅了する所以を語りたいところですが、紙幅に限りがあるので、今回は人生の大半に渡り、関わってきた書道に絞ってお話します。

 

書道との出会いは小学1年生の夏、お隣のお姉ちゃんが通っていた習字教室に通い始めたことでした。その後、高校生まで習字は続けていましたが、部活に入り、本格的に力を入れ出したのは大学2年になってからでした(中高時代は帰宅部でした)

大学で書道部に入ったことで、私の暮らしは大きく変わりました。書道の授業の時間の他にも、先生に声をかけていただいた展覧会に出すために徹夜で書き続けたり、ほかの授業の合間に部活の友だちと作品書きをしたりと、趣味の範疇を超え、書道が生活の中心になっていきました。

そのような日々を過ごす中で、だんだん、習字で作品を作るのと、書道で書作品を書き上げるのには、違いがあるように感じ始めました。ただ、きれいに書ければよいわけではなく、一枚の紙の中に、自分の表現したい世界を作る。納得のいく作品ができるまで何十回も、下手すると何百回も書き続ける。書道は追求の美だと感じ、魅了されてゆきました。

また、何より書道のすごいところは、何千年も前に書かれた作品が、21世紀を生きる私たちを感動させる力を持っていることだと思います。一番、書ってすごい!と感動したのは、大学4年の時です。就職試験で東京に行った際に上野の国立博物館で、小島切という仮名の作品展示を見る機会がありました。約千年以上前に書かれた線が、ほの暗い展示室で鮮やかに、ありありと私に迫ってくるかのように輝いて見えました。千年前に書かれた文字が、長い時を経ても、人を感動させる力を持っているということに激しく心を揺さぶられた記憶があります。

古い作品だけでなく、現代の書にも同じ力があります。どこがすごいという説明抜きに、作品を目の前にした時に圧倒されて、言葉を失ってしまう。いつまでも作品が頭に強い印象を残し、思い出すと「すごいなあ」とじわじわと感動が押し寄せる。そんな作品にも何度も出会うことができました。

 

大学を卒業し、社会人になる時に先生に「まずは10年続けること。仕事や自分の生活が忙しい中でも10年やめずに頑張れれば、その後は一生続けられるから」と言われました。その言葉を支えに、必死に仕事の合間や休みの日を書道に入れ込んだ10年を過ごしました。残念ながら、10年経った頃にちょうど子どもを産んでからは、すっかり以前の書に対する勢いは衰え気味で、最近は月に一度、競書に出す作品書きをしたり、部活の際に部員たちと書いたりする程度しか時間を取れなくなってしまいました。現在は趣味と呼ぶのにふさわしい状態です。

今の私の目標は、「細く長く続けること」。今はなかなか時間を取れなくても、細く長く続けていれば、いつかまた、ゆっくりと書道に向き合う時間を作れる日が来るかもしれない。そして、いつか、自分の書いたものが、誰かの心に残るような作品を書けるようになりたい。そんな気持ちで今は大切な趣味の一つとして書道と付き合っていきたいと思っています。

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