校長・教員ブログ
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中学校の学校祭が終わったばかり。生徒の皆さん、本当にお疲れ様でした。素晴らしかったです。演劇を観ていると、みんなの頑張りが伝わってきます。自分が学生だったころの学校祭を思い出してしまいました。
学校祭は学校によって大きく異なる。
私の出身高校では、各クラスがそれぞれ行灯、模擬店、垂れ幕の3つを行うことになっていた。学校祭1日目、開催式の終わった後の夕方から夜にかけて行灯行列を行い、皆で製作した行灯をクラス皆でかついで町内を一周する。町内の方々にも投票してもらい、1位が決定する。
行灯の題材として作成するものは、高校1年生は初の行灯なのでキャラクターや静物などの簡単なものが多く、2年生では少し変わり種が増える。3年生になるとミニねぶたとも言えるような、閻魔と鬼が乗っかっているものや、虎と武蔵が戦っているもの、龍神や雷神などの、伝統的なデザインの、クオリティの非常に高いものが並ぶ。
私が最も衝撃的だった行灯は、高校2年生のときに、自分のクラスが作ったモナリザである。思えばクラスでの話し合いのときから意味不明であった。行灯とモナリザはどう考えても結び付かない。もう忘れてしまったが、他にもいくつもあったはずの題材の候補の中から、その場のノリでモナリザを選び、あろうことかそれに浴衣を着せようという結論になった。製作期間中、私は行灯担当ではなかったので、外で足場を組んで作られているモナリザをたまに見に行く程度だった。行灯は骨組みを組んで下から作っていくことが多いので、まず最初に腕と浴衣ができる。体はなかなかのいいできだったのに、最後の顔をくっつけて完成、ためしに点灯してみた日、周りから悲鳴が上がった。
電気をつけると、悲しげだったモナリザがニタっと笑うのである。
そして、モナリザの顔が向いている左半分側に立っていると、どこにいてもモナリザと目が合う。
花柄で水色の浴衣を着て、ぺらぺらの黒い和紙1枚でできた髪の毛をもつ、目の下に少しクマのある女の人がニタニタ笑ってこっちを見ているさまは、控えめに言って恐怖以外の何物でもなかった。
行灯は、和紙にロウを塗って、色塗りの際のはみだしを防ぐ工程があるが、ロウの塗り方が濃いと、電気をつけたときに染みのようになる。どうやらこれが口角部分にちょうど当たってしまったらしい。
なぜどこにいても目が合ったのかはいまだに分からないが、見慣れるまでに2時間かかった。少しかわいげも感じてきたころに、行灯行列に出発する。
平和だったはずの宮の森~山の手の、歩道にならんだ子供が泣き、「こわい」「何あれ…」と大人が眉をひそめながら、自分の頭上を見る中を練り歩く行灯行列は、なかなか趣深かった。たぶんなかなかない経験だったと思う。もちろん賞には入らなかったが、見る人には良くも悪くも大きなインパクトを残したに違いない。
クラスの皆も、やり切ったというような、ひと仕事を終えたというような、どこかすがすがしい気持ちで学校に到着した。思えば、とっても楽しかった。