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校長・教員ブログ

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もう1月も終わり、今日(2/3)は節分です。時間はあっという間に過ぎていきますね。

さて、今の暦で考えると完全に時季外れではありますが、お雑煮の話題をしてみたいと思います(暦の話は、これはこれでとても複雑で面白いものです。『古今和歌集』には「年のうちに春はきにけりひととせを去年とやいはむ今年とやいはむ」という有名な和歌があります。新年になる前に立春を迎えた、という内容ですが、今の暦では考えられないですよね。ちなみに2/3は旧暦では1/13になります)。

さて、最近では、お正月でも特におせちやお雑煮を食べないというご家庭も増えているようですが、今まで一度もお雑煮を食べたことがないという人は、まだ少数派だと思います。さあ、ここで思い出してみてください、あなたの家のお雑煮は、どのようなものですか?

 ・お餅は入っていますか? それとも入っていませんか?

 ・お餅は四角い形ですか? それとも丸い形ですか?(丸餅のご家庭では、小豆餡は入っていますか?)

・お餅は焼きますか? それとも焼きませんか?

 ・おつゆは醤油仕立てですか? それとも味噌仕立てですか?

 ・具材には何が入っていますか? 鶏肉? 鰤? 鮭? 人参? 牛蒡? 三つ葉? ほうれん草?

  お雑煮のような、「ハレ」の食事には、それぞれの地域性が色濃く出ます(「ハレ」は民俗学などの用語で、お祭りや年中行事が行われる「非日常」という意味です)。東日本では四角い形の餅で醤油系のすまし汁、西日本では丸い形の餅で白味噌の汁という雑煮が一般的なようです。ただ、北海道は本州各地から入植してきた人々が多いため、同じ場所であっても様々な雑煮が残っている、とても面白い地域です。私は北海道の十勝地方出身で、正月は地元に帰省しています。十勝には「十勝毎日新聞」という地方紙があり、いつも正月には特別号として様々な記事が紹介されるのですが、数年前、「十勝のお雑煮 ルーツ各地に」という特集ページがありました。そこには、本当に様々な見た目や味のお雑煮が紹介されていて、驚いた記憶があります。同時に、伊藤家のお雑煮の由来もわかってうれしかった覚えもあります。我が家のお雑煮は、①醤油仕立てのすまし汁、②四角い餅をそのなかで煮込む、③具はほうれん草と削り節(大量にかけます)、というとてもシンプルなもので、この話をすると、とても驚かれることが多いのです。「そんなに珍しいのかな?」と思っていたのですが、先ほどの特集によると、岐阜地方のお雑煮がまったく同じ作り方をしていました。そう! 伊藤家は岐阜から北海道に入植してきていたのです。

 何気ない生活の中にも、文化は存在しています。それぞれの人の「当たり前」が、実は当たり前ではないということは、なかなか気づかないかもしれませんが、それこそ「当たり前」の事実です。特に食に関わることは、地域やそれぞれのご家庭の文化が色濃く反映しているものです。

そんな「当たり前ではないこと」を楽しむ姿勢が、多様性を尊重する、ということにつながるのかもしれません。

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