学校について

教員ブログ  2025.05

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 本校では来週に1学期中間試験を控えています。1年生,4年生は本校で初めての定期試験であり,在校生以上に緊張している様子が感じられます。いつも以上に学習に真剣に取り組み,お互いに教え合ったり,教員に質問しに行く姿を目にすると,こちらも良質な試験を作らねば,と身が引き締まる思いになります。 

 高校に入学して初めての定期試験での失敗は,今でも私に戒めとして深く刻まれています。小さいころから算数や数学が大好きで得意であった私は,中学卒業までは苦戦したことはありませんでした。高校に入学しても,授業内容はある程度は理解できていたので,何の準備もせず,定期試験に臨みました。お察しの通り,結果は惨憺たるものでした。人間は忘れる生き物です。授業内容をそのときは理解し覚えても,思い出す努力を怠れば,さっぱり忘れてしまいます。また,授業では扱わなかった問題集にほとんど全く取り組まなかったので,圧倒的に練習も不足していました。どう考えても,なめていました。試験を返却されて点数を見たときの衝撃は今でも忘れません。 

 この苦い思い出は,私にとっての大きな学びとなりました。これ以降の定期試験には,十分な準備をするようになりましたし,定期試験以外においても,様々なことに対し,準備を怠らないよう気をつけるようになりました。人間,誰しも失敗はしたくないものですが,失敗することで自覚することもあるのだな,ということにも気づき,以前よりは様々なことに積極的に挑戦するようになった気もします。 

 泣いても笑っても,試験まであと1週間。試験が終わったときに「やり切った!」,返却されたときに「やったー!」と感じられるように,皆が悔いの無い準備をしてくれるといいなと思います。 

古池や 蛙飛び込む 水の音

みなさんご存じの松尾芭蕉の俳句です。五・七・五のリズム感がいいですよね。俳句はこの十七音でできていますが、日本語はどうもこの五や七の音が心地よく感じるようにできているようです。 

こんなことを意識したのは、最近授業で連歌を作り、発表してもらったからです。連歌は初めに五・七・五の句を用意し、そこに別の作者が七・七の句をつなげ、その後も五七五、七七、五七五……とつなげていく複数の作者による合作文学です。授業で聞いてあらためてこの定型は響きがいいなあ、と感じました 

すると実は本校の校歌もそうだと教わりました。ためしに1番の歌詞を上げてみます。(わかりやすく、すべてひらがなにしています) 

 

きたのそらなる⑦ おおぼしは⑤ 

いずこのくまをも⑧ てらすらん⑤ 

ふみのみなかみ⑦ むすぶての⑤ 

しずくごとにぞ⑦ かげはみえける⑦ 

 

なるほどほぼ七五調です。耳なじみがいいのはそういうことか、と一人で腑に落ちました。校歌と言われて自分の頭に浮かぶのはこの曲と出身高校の二曲だけなのですが、もしやと思い返してみるとそちらもやはり七五調でした 

 これはと思い、あれこれみると思いのほかたくさんあります。元素記号の語呂合わせで有名な「水平リーベ/僕の船」もそうですし、かつてテレビCMでよく流れたコンビニのキャッチコピー「セブンイレブン、いい気分」もそうでしたとくに後者は「~ブン、…分」と最後の音を揃えたうえ曲に載せているのでなおさら印象的です曲と言えば、アニメソングの「残酷な天使のテーゼ」はテレビ番組の曲解説で、五七調の多用が指摘されていたようです。 

そんな中でも印象的だったのは有名なタワーレコードの「No Music,No Life」です今でも一向に古びない傑作コピーだと思いますが、日本語に起こすと「ノーミュージック、ノーライフ」となり七五調になります。(長音「ー」や促音「ッ」はそれぞれ1音と数え、「ミュ」はまとめて1音と数えます) 

もちろん意味的にも音楽に携わる企業としての哲学を端的に示す素晴らしいコピーだと思うのですが、言葉の響きにおいても英語のみならず日本語としても語呂がいい長年愛されるべくして愛される作品なのだと、あらためて感心させられました。 

こんな感じで私たちの身の回りにはたくさんの七五調や五七調の表現があります。みなさんもふと見かけたら、口ずさんでみてください。リズムの良さが響くと思います。 

我が家には6才になる猫がいます。今回は,この猫の行動について紹介したいと思います。 

 この猫に毎朝,ブラッシングを要求されます。場所は必ず子供の学習机と決まっています。朝起きていくと,ヤレヤレという感じで伸びをしながら机へ誘導され,飛び乗ってゴロゴロ転がります。これがブラッシングをしてほしいサインです。ブラシもお気に入りがあり,違うブラシを使うとすぐ怒られて嚙まれます。わがままに育てすぎたのかな…。しかし,ある日から朝起きていくと,もうすでに机にスタンバイしているようになりました。時計が読めるかのように,外が明るい暗い関係なく机の上でスタンバイしています。猫には体内時計があるのだなと日々感じるようになりました 

 体内時計エピソードは他にもあります。うちの食事は基本,一日2食にしています。朝起きてからと夕方です。しかし,病院で体重増加を指摘され食事制限されてからエサの要求もするようになりました。最初は夜泣き?朝泣き?で可愛い要求だったので,大谷選手のように『心地いい寝不足』だったのですが,これが日に日に早くなってきました。もう寝不足になって大変!となったので,ついに耐えることができず自動エサやり器を導入することにしました。朝食は4時,夕食も16時と決めセッティングしていますが,ほぼ毎回エサが出る前にはもうスタンバイしています。ひどい時には1時間以上前からスタンバイです。エサが足りないのは知っていますが,これが適正量だと言われているから…。 

 動物には生き延びるために体内時計(生物時計)があるようです。我が家には毎年夏にはクワガタが玄関に仲間入りします。昆虫にも体内時計があるのか?今度はクワガタにも注目してみようと思います。 

 私たちの多くは忙しい生活を送っています。「もう限界」と思った矢先に、また次の何か新しい問題と向き合わなければならなくなり、そして、どういうわけか、私たちはそれを受け入れる余地を作ってしまいます。この絶え間ない忙しさの中で、ともすれば押し出されてしまうものこそ、私たちの人生を価値あるものにしてくれるものだと思います。

私にとって、それは喜びです。喜びは自然に生まれてくるものであり、予期せぬものです。喜びは突然私たちを訪れ、元気づけ、前進し続けるエネルギーを与えてくれます。喜びは生命を支えるものともいえるでしょう。

喜びをもたらす仕事に就けている私は幸運だと思っています。生徒たちがあれこれと自分の考えや思いを語るのを聞くこと、いろいろなアイデアに取り組み、理解を深めていく言葉を聞くことが大好きで教師になりました。生徒たちと話すことは、私により若い新しい視点で世界を見る力を与えてくれます。私にとって生徒たちとともに過ごせる学校は、単なる仕事の場ではなく、最もエネルギーを感じられる場所です。

仕事は大好きですが、私にはもっと何かが必要だと感じています。日本に引っ越す前は、仕事以外の豊かな生活が私を支えてくれました。これからの生活においても私を支えるための喜びとつながりが必要です。そして今、私はつながりをもったいろいろな人の「喜び」に目を向けています。

第12代校長のエリザベス・M・エヴァンスは、教育と演劇に情熱を持った女性でした。私たちにとって幸運なことに職業としては教育を選択し、40年間北星女子で教鞭を執りつつ、常に演劇への情熱も持ち続けていました。毎年、生徒たちと一緒に数々の英語劇を制作し、その才能と情熱を次世代に伝えてきました。エヴァンス校長の歩みを考えると、私たちは必ずしもどちらか一方を選ぶ必要はないのだということを思い知らされます。自分の仕事と好きなことを織り交ぜれば、より素晴らしいもの力強いものを創造できるのです。

 

 

最近、介護施設への入所準備をしているという卒業生から学校へ連絡が届きました。1950年代に卒業したその卒業生は、北星女子が自分自身に与えた影響を伝えたいと思っていたようです。彼女は子育てを終えた後、ヨーロッパを旅する機会に恵まれ、そこで見たステンドグラスの素晴らしさに感銘を受けました。 その美しさは学生時代に身近にあったステンドグラスを思い起こすことにつながり、自らもステンドグラスを学ぶことを決意したといいます。訪問させていただいたご自宅には、四季折々のステンドグラスが飾られていました。彼女の製作する作品は、光と色彩を分かち合う喜びを目に見える形にしたものだと感じました。始めるのに遅すぎるということはないと教えてくれる出会いでした。

宗教主任の小西先生は講堂礼拝のお話で鉄道への愛を語ってくれました。阪急電鉄2300系「PRiVACE」に乗った時の写真を見せながら、お正月にご家族と大阪から京都へ旅行したときのことを目を輝かせて語ってくれました。車両や座席、窓の様子などを詳しく説明する小西先生は喜びにあふれ、ともに礼拝する人々を魅了していきました。何かを深く愛するということは魔法のようです。小西先生の情熱は、喜びは広がり、つながっていくものだということを教えてくれました。

最後に、1992年に私が初めて北星女子で受け持った生徒の話をしたいと思います。彼女は現在、東京でキャリア・カウンセラーとして活躍しており、本校4年生に「自分の好きなことを見つける」ことについて講演するために母校に戻ってきました。私は彼女の話を聞きながら、そのメッセージが私自身のメッセージと重なっていることを痛感しました。彼女は生徒たちに情熱的に語りかけ、自分の好きなことを見つけるために時間を費やすことで、自分自身に投資するよう勧めました。彼女の人生は、自分の仕事と価値観が一致すると、充実感を得ることができ、出会った人々と情熱を分かち合うことができ、大きな影響を与えることができるということを証明しています。

誰の人生も、静かな喜びの糸で紡がれています。私にとってそれはかつて庭、歌、本、そして会話の中にありました。今、新しい環境で、私は再び喜びを探し、その糸を辿っています。あなたはどうですか?喜びを受け入れる余地をもっていますか?それとも、今は探す時でしょうか?あなたに安らぎをもたらすものに気づいてください。あなたを輝かせてくれる人に気づいてください。あなたのエネルギーが湧き上がる場所に気づいてください。それらに気づく瞬間瞬間に私たちを支え、安らぎをもたらしてくれるものの兆しが隠れているのです。

そしておそらく、喜びを感じることで私たちは単に人生に満足するだけではなく、それぞれが本来あるべき姿へと成長しているのです。

 

Cultivating Joy
Many of us lead busy lives. Just as we think we’ve reached our limit, something new pops up—and somehow, we make room for it. In this constant rush, I worry that what gets squeezed out is precisely the thing that makes life worth living.

For me, that thing is joy. Joy is spontaneous and unexpected. It comes in spurts, surprising us, lifting us up, and giving us the energy to keep going. Joy is life sustaining, and therefore, too important to be left to chance.

I count myself lucky to do work that brings me joy. I became a teacher because I love listening to young people think out loud — wrestling with ideas and developing new understandings. When I speak with students, their perspectives help me see the world through new, younger eyes. For me, working with students is not just work—it’s where I feel most energized.

As much as I love my work, I believe I need more. To give fully, I must live fully. Before moving to Japan, I had a rich life outside work that sustained me. Now, in this new chapter, I find myself seeking again for the joy and connection I need to sustain me. And so, I find myself looking now to others whose lives radiate joy.

Let me share a few.

Elizabeth M. Evans, the 12th principal of Hokusei, had two loves: teaching and acting. Luckily for us, she chose teaching. Ms. Evans taught at Hokusei for 40 years and she brought her love of theater with her. Each year, she produced multiple English plays with the students, sharing her talent and her passion with the next generation. Her story reminds me that we don’t always have to choose. When we weave together what we do and what we love, we can create something greater and more powerful.

Another spark came from a graduate who recently reached out as she prepared to enter a care facility. She had graduated in the 1950s and wanted to tell us how Hokusei shaped her path. After raising her children, she journeyed through Europe, where she marveled at the splendor of the stained glass windows.  The beauty reminded her of the stained glass she had loved as a student, and she decided to learn the craft herself. When we visited her, we saw her vast collection of art to reflect the seasons. She had created tangible artifacts of joy to share light and color with those in her life. Her story whispered: it is never too late to begin.

Then there’s Mr. Konishi, our chaplain, who once shared his love of trains during worship. His eyes lit up as he showed photos of his trip on the Hankyu Densha 2300 “Privace” and told of his trip with his family from Osaka to Kyoto over New Years. As he described the train car, the seats, and the windows in detail, his joy was contagious. That’s the magic of loving something deeply—it spills over and invites others in. His passion reminded me that joy doesn’t stay small; it expands and connects.

My final inspiration is from a former student from my first Hokusei class in 1992. Now a career counselor in Tokyo, she returned to speak with our tenth graders about discovering what they love. As I listened, I was struck by how her message mirrored my own. She spoke passionately to the students, urging them to invest in themselves by spending the time to discover what they love. Her life is proof that when we align our work with our values, we can find fulfillment, share our passions, and have a lasting impact on those we encounter.

We all have quiet threads of joy running through our lives. For me, it once lived in gardens, singing, books, and conversations. Now, in new surroundings, I’m seeking again, tracing the thread anew. What about you? Are you making room for joy—or is it time to search again? Notice what brings you peace. Notice who lights you up. Notice where your energy rises. In those moments lie the signs of what will sustain us and bring us peace.

And perhaps, in choosing joy, we aren’t just filling our lives—we’re growing into who we were meant to be.

 

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