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国語の授業で必ず勉強する「文法」。「苦手だなあ」「難しいよね…」という言葉がよく聞かれます。日本語は10の品詞から成っていますが、その中の「助詞」は動詞や名詞というスターの陰に隠れてちょっと地味な感じがします。でも、「助詞」があることで私たちの言葉はとても豊かになっているのです!今回はたくさんある助詞の中の一つ「の」を取り上げてみましょう。
〇これは何のタイトルでしょう?
「崖の上のポニョ」
「天空の城ラピュタ」
「風の谷のナウシカ」
「千と千尋の神隠し」
「ハウルの動く城」
「となりのトトロ」
…どれもジブリ映画で有名なタイトルですね。「大好き!」という人も多いはずです。さて、このタイトル、すべてに「の」が入っているのに気づきましたか? ジブリには「映画タイトルに「の」を入れるとその映画は大ヒットする!」というジンクスがあるそうです。
では、もし助詞の「の」が無かったら?
「崖の上にいるポニョ」
「天空にある城ラピュタ」
「風が吹く谷に住んでいるナウシカ」
「千と呼ばれる少女千尋が神隠しにあった」
「ハウルが住んでいる動く城」
「となりにいるトトロ」
…という感じになってしまいます。なんだかへんてこな感じがしますし、「の」がないと堅苦しい印象になりますね。助詞「の」は日本語の中でもとても大切な役割を担っているのです。
〇もともと助詞の「の」は助詞の中では「格助詞」という分類に入ります。格助詞は体言のうしろについて、その体言が、文中の他の言葉に対してどのような関係かを示す働きをします。そして格助詞「の」には
①主語であることを示す働きをする
(例)ヒマワリが咲く → ヒマワリの咲く季節だ
②連体修飾語を示す働きをする
(例)子どもの運動会 (「の」がすぐ後ろの体言「運動会」を修飾している)
という働きがあります。教室内でも「これ、誰の~?」「私の~!」なんていうやりとりがよくありますよね。これも格助詞「の」があるからできる会話です。ジブリ映画のタイトルもこの「の」の働きを上手に使って生み出されたものなのです。
〇また、「の」には助詞としての用法以外にも「字の形や音の響きが優しい」という特徴があります。次の有名な短歌を見てみましょう。
「くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨の降る」 正岡子規
どうでしょうか。「の」が何度も重なることで印象の柔らかい優しい雰囲気の短歌になっています。もし、「薔薇の芽が」「春雨が」だったら、こんなに有名にはなっていなかったかもしれませんね。
…ということで、「の」の面白さ・楽しさ・素敵さについて語ってみましたが伝わったでしょうか。普段なにげなく使っている言葉にもいろいろな意味や使い方があります。言葉を大切にして生活したいものですね。
ちなみに…あの有名な「名探偵コナン」の映画タイトルもほとんど「の」がついているそうですよ。気になった方は確認してみてくださいね★