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皆さん、陰影とはただただ暗い影をイメージしがちですが、黒くなっているだけだと思い込んではいませんか?
じっと見つめていると、陰には不思議な色がみえてくるのです。今回はその陰影の魅力について、迫ってみたいと思います。
1、陰影と反射光
絵画制作では一般的に、描く対象の陰影を描き分けることによって、立体感や量感を表わします。しかし、固有色だけで描くと、どうしてもイラストやアニメのようになってしまいます(人物と背景が合成しているように見える)。
ここで、重要になってくるのが反射光です!!
【反射光とは】光が地面や周りの壁・物体などにあたりはね返り、陰の部分がほんのり明るく表れる現象をいいます。反射光の距離(強弱)や角度などを分析して上手に表現することが大切です。気をつけたいことは、むやみやたらに反射光を入れると、平面的な空間表現になってしまいます。
2、反射光には色がある
光が反射光になったとき、【魅惑的な色】が付きます。
例えば、赤い上着を着ていると、首や手が赤色になって見えますね。また、芝生の上に立つと、脚や服の陰に芝生の色が映り込みとても綺麗です。特に陽射しが強いときははっきりと表れ、見る物を美しく、より立体的に見せます。地面や服を描かなくても、反射光の色を見るだけで、周りを想像することができます。
絵画制作では、反射光の色を強調して表現するのがポイントです。
3、反射光を効果的に生かす
反射光は、陰(暗部)にはっきりと見えます。凝視すると、映り込む面の角度や位置よって様々な色が複雑に映り込みます。絵描きは、描く対象意外のものにも目を向け、【反射光の予測】をします。
頭を使い、反射光を予測して、描く対象をとらえるのがポイントです。
その他に 色彩遠近法を使って、【陰の中で距離感】を強調するのも良いですね。例えば赤や黄色は前進してくる色です。手前の部分に彩度の強い暖色を使うとより立体的になります。逆に、青や緑色を使うと後退してくれます。後退させたい暗部に寒色を使うとよいです。
「隣の猫」を描いてみました、参考になれば嬉しいです。この絵は、日本橋三越本店で《立美会》2021年6月23日(水)~28日(月)まで展示予定です。機会があれば実物を見ていただけたら幸いです。
「隣の猫」F30号 キャンバス/油彩 2021年制作 作者:波田浩司