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校長・教員ブログ

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 先日、保育園に通う4歳の娘が「ママ!保育園でたけのこご飯、食べたんだよ!サクサクしていて美味しかった~!!おうちでも作ってよ!!」と弾んだ声で、リクエストがありました。たけのこご飯??今までたけのこの煮物を夕食で出しても、そんなに食べていたかな……?と意外なリクエストに驚きました。娘の保育園では、自分たちで野菜を育てたり、ご当地グルメメニューがあったり、(月に1度、47都道府県のうちどこか1つのメニューが提供され、食べたところは日本地図に色を塗っていきます。)食に対する興味を持てるような工夫や、旬の食材を楽しむことを実践してくれ、親としてもありがたい限りです。

 さて、「たけのこ」と言えば、どのような「たけのこ」を思い浮かべるでしょうか?北海道出身の私にとってのたけのこは、アスパラのような見た目の細いたけのこ、「根曲がり竹」や「姫竹」と言われるものです。小さい頃は、これ以外のたけのこの存在を知りませんでした。母方の祖母が作ってくれる、たけのこの味噌煮は最高に美味しく、ご飯がすすむおかずでした。ところが、道外出身の父方の祖母が作るたけのこ料理は、細いたけのこではなく、「孟宗竹」と言われるものが使われていました。今ではこの「孟宗竹」のおいしさもわかるのですが、小さい頃はこれを「たけのこ」とは認められず、味も何となく苦手でした。娘が保育園で食べていたのも「根曲がり竹」で、私が娘のリクエストに応えて作った「たけのこご飯」も「根曲がり竹」で作りました。アクもなく、強く主張はしないけれど、しっかりと主役になってくれる、そんなたけのこが「根曲がり竹」だと思います。

 この「たけのこ」の話をしていて思い出すのは、北海道の「赤飯」です。北海道では小豆ではなく、甘納豆を入れて赤飯を炊く食文化があるのは、今ではけっこう知られていることだと思います。「赤飯=甘い」は小さい時から当たり前で、運動会やお祝い事に祖母や母が作ってくれる赤飯は美味しくて大好きでした。しかし、これまた父方の祖母が作る赤飯には甘納豆が入っているはずもなく、小豆の赤飯を見た時には驚きました。もちろん、同じように私の父も、初めて甘納豆の赤飯を食べさせられた時は驚いたことだと想像できます。ちなみに、農林水産省のホームページに「うちの郷土料理」というページがあり、北海道の赤飯が以下のように紹介されています。

甘納豆の「赤飯」は、昭和20年代後半ごろに、札幌にある学校法人光塩学園の創設者で初代学長の南部明子先生により「忙しいお母さんが手軽につくることができるように」と考案された。自身も働く母であったため、「手間のかかる小豆の赤飯を炊くのは大変だが、子どもたちが喜ぶものを食べさせてあげたい」という想いから、米を炊いて甘納豆を混ぜ、食紅で色をつけるだけという簡単な調理法を確立した。
北海道の郷土料理の第一人者でもある南部先生は、全道各地で講演をおこなっていた。その際に、地方のお母さんたちに甘納豆を使った「赤飯」のつくり方を教えたところ、子どもたちが大喜びし、またたく間に人気を博した。その後、新聞やラジオなどのメディアで紹介されるようになり、一気に道内に広まっていった。

 

 甘納豆の優しい味わいと同じく、考案されたエピソードにも優しさと愛情を感じます。幼い頃から親しんできた「細いたけのこ料理」も「甘納豆の赤飯」もずっと継承していきたい郷土料理です。そして、そのうち全国のおいしい郷土料理を探し求めて旅をして、日本地図に色をつけていきたいなと思っています。

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