校長・教員ブログ
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日本は資源のない国だと思われてきましたが、近年になって日本の南鳥島周辺にレアアースが海底に大量に眠っていることが明らかになってきました。私はそのニュースに、日本の将来の希望の一部を見たような気がします。
レアアースとは何に使われるかというと、風力発電や高性能磁石、燃料電池などで必要とされていて特に、今後は電気自動車が普及してきた場合、とても大切な資源となります。そのため、円安などの影響で石油などの燃料を高く輸入している現在の日本にとって安定的な確保が急務です。
2018年に、南鳥島周辺の特に有望な海域 (2,500 km2) におけるレアアース資源量が世界需要の数百年分にも達することが明らかとなりました。南鳥島とはどこにあるかと
いうと、日本の最東端にある島で東京から南東に1950kmも離れています。この小さな島の周辺になぜレアアースが多量に存在することになったかをつきとめたのが、東京大学のグループでした。彼らの研究によると、まずレアアースがどれくらい昔のものかを調べたところ、およそ3450万年前にできたものだということが分かりました。この時代は、地球全体が温暖な気候から寒冷な気候へと急激に切り替わった時期として知られています。恐竜が絶滅した6,600万年前から現在までの新生代と呼ばれる時代のうち、前半は北極や南極にも氷床が存在しない「温室地球」でした。そして、3,400万年前頃を境に南極大陸に大規模な氷床が発達し、現在のように両極に氷床が存在する「寒冷地球」へと、地球の気候モードのシフトが起こりました。超高濃度レアアース泥の生成は、その最初の南極氷床拡大の時期と一致します。その温かく豊かな海だった南鳥島周辺にいた大量の魚が「寒冷地球」へと向かったときに大量に死骸となり、その骨に
海水に含まれていたレアアースが高濃度に蓄積していったと考えられます。
レアアースは地球が有限であるために、石油や他の資源と同様にいつかは資源が枯渇してしまいます。そのことによって、紛争や貿易摩擦、戦争が起きています。しかし、全世界の人々は「宇宙船地球号」という巨大な一つの船に乗っていることを自覚しなければなりません。なぜなら、人間は非常に弱い存在であり自然の力には勝てないからです。6600万年前には、あの強い恐竜までもたった1個の隕石によって滅亡したのですから。