絵具の顔料成分を使い分けて描く!! 美術教員 波田浩司
絵具の顔料成分を使い分けて描く!!
みなさんがよく使っている「絵の具」。
ご存知でしょうか?
【同じような色でも、顔料によって色が全く違うということ】
例えば、クロムイエローとカドミウムイエローでは彩度が全く違います。
後者の方が、圧倒的に彩度が高いのは確認しておきたいことの一つ。
今回は、大きさF30号のキャンバスに油彩画を描いてみました。
【下地+下描き】
いつもきまって、裏キャンバスにジェッソ(アクリル系下地材)を4層塗ってから始めます。次に半日乾燥させ、霧吹きで水を吹きかけながら耐水ペーパー(240番)で表面を平らにします。下描きは木炭を使用。木炭は鉛筆と違い、簡単に消すことができるので使いやすいです。下描きが完成したら、フィキサチーフで木炭を画面に定着させておきます。
【三原色で着彩】
ベース色は三原色(青コバルトブルー、黄オーレオリン、赤カドミウムレッド)+白とモノクロームチントクールで全体を塗っていきます。少し色のニュアンスを変えたいときは、赤の顔料に少し同系色を添架します。
例えばオーロラピンクやスーパーモーブを加えるといった感じです。
私の場合、顔を描くときは三原色を混色して黒を作り、目から塗ります。
髪や服の輪郭は質感を表現したいので、ぼやかすように塗っていきます。
【服+テーブル(特異な顔料を使う)】
骨炭を顔料として作られた絵の具を、皆さんは知っているでしょうか?
グレーオブグレーという絵の具で松田油絵具 株式会社さんが製造しています。
この絵の具を使い、服の陰部を描くことで、明らかに違う存在感がでるのです。
テーブルに伸びて写っている子供の影には、バーミリオンやカドミウムグリーンを使用するなどの工夫で、違いを魅せることができます。
【最後に】
顔料成分を理解したうえで特に注目させたいところには、色の使い分けが大切です。
絵具の部質感がより魅力的な作品を創り上げることとなるでしょう。絵の具のチューブには顔料成分が明記されているものもありますので、しっかりと確認/理解するところから絵画制作は始まります。今はご自宅で油絵の具の魅力を体験してみる良い機会です。
自分でつくりだす、自分だけの自由な世界を創ってみませんか?
参考作品 「陽射し」F30号 2020年制作 波田 浩司
立美会(2020年6/10水~6/15月・日本橋三越6階美術特選画廊にて展示予定)