「おうちごはん~Umami編~」 家庭科教員 川端 暖加
ステイホームが続くゴールデンウィークでした。みなさんは“おうち時間”をどのように過ごし、楽しんでいますか? 家庭科教員の私は、料理はお得意でしょうと思われがちですが、決して得意ではありません。しかし美味しいものを食べることは大好きで、旅行先でも楽しみはいつも“食”です。おうちごはん第一弾、今回注目するのは「うま味」です。和食ではだしのうま味が味の決め手となります。
「うま味」とはどんな味なのだろう? そんなことを紹介していきたいと思います。
★「うま味」とは?
おいしさの一番大切な要素である「味」は、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの基本味からなります。基本味とは、ほかの味を混ぜ合わせてつくることのできない独特の味です。
★「うま味」の発見
明治時代に入り、洋食を取り入れるなど食文化に広がりが生まれるなかで、さまざまな食品に共通のおいしさに寄与する味に注目する研究者がいました。東京帝国大学(現在の東京大学)の池田菊苗博士です。この共通の味に注目した博士は、一束のだし昆布から「うま味」を抽出する研究にとりかかり、昆布のうまみ成分がグルタミン酸であることを1908年に発見、このグルタミン酸をナトリウムなどの塩類にしたとき感じる独特の味を「うま味」と名付けたのでした。
★世界からも注目される「Umami」
基本味の概念は古くからいろいろな説(アリストテレスの7つの基本味、古代中国の「五味」など)がありました。「Umami」という用語が公式に用いられるようになったのは、1985年にハワイで開催されたうま味の国際シンポジウムがきっかけでした。そこでは、うま味が他の4つの基本味をいかに組み合わせてもつくることができない味であることや、うま味の情報を伝える特別な神経が存在することなど、うま味に関する多くの研究成果に基づいて、うま味が、基本味であることが広く国際的に認められたのです。
★代表的なうま味成分とそれを多く含む食品
グルタミン酸…昆布、トマト、チーズ、玉ねぎ、アスパラガス、ブロッコリーなど
イノシン酸…かつお節、かつお、いわし、鶏肉、豚肉、牛肉など
グアニル酸…干ししいたけ、乾燥ポルチーニなど
コハク酸…アサリなどの貝類
このほかにもいろいろな天然の食材に含まれています。
★うま味の相乗効果
うま味成分はそれぞれ単独でもうま味を示しますが、昆布や野菜などに多く含まれるグルタミン酸とかつおぶしや肉類に多く含まれるイノシン酸またはグアニル酸を一緒に使うと、うま味が飛躍的に増強されることが分かっています。昔からだしをとるときの組み合わせとして、日本料理では昆布とかつおぶし、中国料理では長ネギと鶏ガラ、西洋料理においても玉ねぎと牛肉などが使われていたのは、経験的にこの効果を知っていたからだと考えられます。
★調理例【うどん・こんにゃくとちくわの煮物(グルタミン酸+イノシン酸)】
昆布とかつおのだしが決め手。
煮物には、かつおぶしをまぶすことでさらに美味しさアップ。
うどんには冷蔵庫の残り物を入れて食品ロスゼロへ!(さつま揚げ・卵・水菜)
みなさんも「うま味」をうまく使って、身近な旬の食材で、毎日のおうちごはんを楽しんではいかがでしょう。
参考:生活情報シリーズ⑮うま味の知識(恒信社)