「大きな数」 数学科 千葉朋陽
石ノ森章太郎さんの漫画「宇宙鉄人キョーダイン」、僕が小学生の時にTVで放映されました。その歌詞の中に「♪一,十,百,千,万,億,兆,京!」という部分があります。僕はこの歌で算数の「位」を覚えました。
先日、小学校4年生の息子の算数の試験が戻ってきました。㋑の解答をみて驚きました!
「がい?!どこでこんな『位』を覚えたの?」正解は『億』ですね。彼の解答は間違えていますが,僕は息子が「がい」という「位」を知っていることに,とても嬉しくなりました。どうやら僕は自宅でキョーダインの替え歌を歌っていたようです。それを覚えていたのですね。
1垓(がい)とは,1,0000,0000,0000,0000,0000(0が20個)です。
土星までの距離1,4294,0000,0000m(1兆4294億m=14億2940万km)は
1429,4000,0000,0000mm(1429兆4000億 mm)です。「垓」はまだ登場しません。
ウルトラマンの故郷M78星雲までの距離はどうでしょう?作品の中では地球から300万光年と設定されています。1光年は約9兆5000億kmですから、
300万×9兆5000億km=300,0000×9,5000,0000,0000 km
=3800,0000,0000,0000,0000km(3800京 km)
=380,0000,0000,0000,0000,0000m(380垓 m)
ようやく「垓」の登場です。とてつもなく大きな数であることが実感できたでしょうか?
よく知られている大きな数の「位」として「無量大数(むりょうたいすう)」が有名ですね。1無量大数は1の後ろに0が68個(※1)つながります。でも、どんな場面でこの「位」を使えばいいのでしょう?想像もできません。
※1無量大数を10の88乗と解釈する文献もあります。
しかし、まだまだ大きな「位」が存在します。「不可説不可説転(ふかせつふかせつてん)」です。
1不可説不可説転は、1の後ろに0が37,2183,8388,1977,6444,4130,6597,6878,4964,8128個つながります。【37澗(かん)2183溝(こう)8388穣(じょう)1977(じょ)6444垓(がい)4130京(けい)6597兆6878億4964万8128 個 …と読みます】もうこうなっては,何が何だかわかりませんね(笑)
これらの「位」は仏教用語からきています。
数字の世界はこれで終わりません。まだまだ大きな「位」があります。
「googol(グーゴル)」という位があります。あれっ?なんか聞いたことがありますねぇ…そうです、Googleです。社名の由来が「グーゴル」です。
1googol は10の100乗です。1不可説不可説転よりは小さいですが、さらに「googolplex(グーゴルプレックス)」「googolplexplex(グーゴルプレックスプレックス)」と続きます。
1googolplexは、10の1 googol乗
1 googolplexplexは10の1googolplex乗です。
で、さらに……って、もういいかな?(笑)
ちなみに、みなさんにも馴染みのある「位」として、
1M(メガ)=100万、1G(ギガ)=10億、1T(テラ)=1兆 があります。ちなみにテラの続きは、1P(ペタ)=1000兆、1E(エクサ)=100京、1Z(ゼタ)=10垓、1Y(ヨタ)=1です。近年のPCの進化はものすごいですから、これらの「位」もすぐに登場するのでしょうね。
僕の大好きな俳優:マイケル J フォックスさんの主演映画「Back To the Future」、主人公マーティーが未来に帰るために必要な電力が非常に大きく、友人ブラウン博士が驚く場面があります。「1.21GW(ジゴワット)!!!!!1.21GWだと!!!!????」
これは「ギガワット」のことです。12.1億Wということですね。タイムトラベルにはこれほどの電力が必要だということです。
また、Part3で恋人を失ったブラウン博士が「100万人に1人、10億人に1人、いや、1グーゴルプレックス人に1人の女性だった …」と嘆くシーンがあります。とても大切な人だったのですね。
そもそも数は無限にあることがわかっています。ですから「位」にも終わりがないわけですね。終わりのないものを追求するのは、一見大変そうに思います。しかし、好きなことなら、それは楽しみに変わるのでしょう。
みなさんにとって、終わりのない追及は何ですか?